創業期から自然に醸成されたミツモアのグローバルなエンジニアチーム

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髙木早弥奈

グローバル採用コンサルタント

近年、多くの企業が優秀な人材を確保するために採用のグローバル化を進めています。そんな中、ミツモアも創業初期の段階から外国籍エンジニアの採用に取り組んできました。ミツモアのエンジニアチームは2024年11月現在55人で構成されており、そのうち約6割が外国籍エンジニアです。日本語が話せるエンジニアもいれば、英語だけを話すエンジニアもおり、チーム内では日常的に日本語と英語の両方が飛び交っています。

創業から半年ほど経った頃、最初の外国籍エンジニアがチームに加わりましたが、当時はまだ会社の規模が小さく、日本人を含めて積極的に採用する状況ではありませんでした。その後、シード期を経て事業を拡大するタイミングで採用を加速。外国籍のエンジニアもターゲットにした本格的な採用活動がスタートしました。この段階で、海外からの優秀な人材を積極的に迎え入れることがチーム強化の鍵だと考え、外国籍エンジニアをターゲットにした積極的な採用戦略が遂行されたのです。

その際にミツモアが活用したのがTokyoDevでした。最初に入社した外国籍エンジニアにTokyoDevを紹介されたことがきっかけだったといいます。さっそくTokyoDevに求人を掲載したところ、予想以上に多くの応募があったと、CTOの柄澤さんは振り返ります。最初は英語での面接に苦労することもあったそうですが、次第に慣れていき、採用の成功事例が増えていったそうです。これまでミツモアはTokyoDevを通じて26名のエンジニアを採用しており(2024年11月現在)、外国籍エンジニアの7割の採用をTokyoDevで実現しています。

この記事では、そんなミツモアのグローバルチームにおけるコミュニケーション術や多様性の活かし方を紹介します。

ミツモアが早期にグローバル化できた理由

エンジニアチームのグローバル化を進める理由は、いくつかの要素が重なり合った結果だと柄澤さんはいいます。まず一つ目は、経営陣の多くが英語を使えたことです。柄澤さん自身も流暢というわけではないにせよ、英語でコミュニケーションが十分に取れるというのは大きな要因です。二つ目は、プロダクト開発における利点です。代表の石川氏が海外での勤務経験を持ち、柄澤さんもベトナムで働いた経験があります。その経験から、プロダクト開発に国境は関係ないという感覚が根付いていることから、多国籍なチームを構築するのは自然な選択肢だったそうです。そして三つ目は、日本人エンジニアの採用が難航していたことです。将来的には海外展開も視野に入れているそうですが、決してそれがグローバルチームを構築した直接的な理由ではなく、優れたチームを構築するために最善を尽くした結果、外国籍メンバーが順調に増えたのです。

柔軟な体制とチームを支えるコミュニケーション術

グローバルなエンジニアチームの構築において、柄澤さんはコミュニケーションの工夫が重要だといいます。外国籍メンバーは社内でマイノリティになることが多いため、彼らがスムーズに働けるようなコミュニケーション環境を整えることが必要だからです。情報共有が不十分であったり、キャッチアップが遅れることで、外国籍メンバーのモチベーションが下がったり、意思疎通に問題が生じることもあります。そうした問題を未然に防ぐためにも、彼らがエンジニアとしてパフォーマンスしやすい環境作りを徹底していくことが不可欠です。ミツモアのエンジニアチームの特徴である、多様性を活かしながら自然に形成されてきたチーム体制と、柔軟なコミュニケーション戦略を紹介します。

国籍にとらわれない自然なチーム体制

現在のエンジニアチームの体制は、自然な流れで形成されてきたという柄澤さん。初期の段階から外国籍のエンジニアを積極的に採用していたものの、日本人と外国籍メンバーの人数バランスを特に意識していたわけではなかったそうです。良い人がいれば採用するという方針で進めてきた結果、現在は外国籍メンバーが少し多めで、おおそよ6:4の割合になっています。

ポジションについても、「このポジションは日本人」 「このポジションは外国籍」といった形で明確に分けていたわけではありません。国籍に関わらず優秀なフルスタックエンジニアを採用してきた結果、各メンバーがそれぞれのスキルを活かしながら、同じチーム内で協力し合うようになったのです。

臨機応変なチームコミュニケーション

チーム編成においても、日本語話者中心のチームと英語話者中心のチームが存在しますが、英語話者だからといって特別なチームというわけではありません。どちらも特定の機能の開発を行うチームで、チーム内のコミュニケーションの言語を明確に決めているわけではないといいます。例えば、日本語話者中心のチーム、つまり日本人と日本語を話せる外国籍メンバーが混在しているチームでは、ビジネス上の必要性からではなく、チームのメンバーの働きやすさに合わせて自然と日本語が使われているということです。

テキスト中心のコミュニケーション文化

チーム間のコミュニケーションでも工夫がされています。例えば、翻訳環境を整えることで、異なる言語を使うメンバー同士のやり取りをスムーズにしています。社内のメッセージやドキュメントには翻訳を導入し、テックブログで紹介されているように同時通訳レベルで情報を共有しているそうです。さらに、テキストベースのコミュニケーションが多く行われており、Slackやドキュメントを活用して議論を進めるスタイルが基本です。この方法なら、英語もしくは日本語に抵抗があるメンバーでも、比較的安心してコミュニケーションが取れると柄澤さんはいいます。ドキュメントをもとにミーティングを行い、コメントを付けて議論を深めていくという文化が言語の壁を越える手助けをしているのです。

各チームにバイリンガルのプロダクトマネージャーを配置

さらに、各チームにバイリンガルのプロダクトマネージャー(PdM)がいることも大きな強みです。英語を話せる日本人のPdMが3人おり、彼らがチーム間の橋渡しを行うことで、開発機能の理解がスムーズに進むようになっています。こうしたPdMの存在が、異なる言語を話すメンバー同士をつなぎ、チームを一つにまとめる重要な役割を果たしています。

グローバルなエンジニアチームのメリットとは

創業初期から積極的に外国籍メンバーを採用し、順調に形成されてきたミツモアのグローバルなエンジニアチーム。メンバーの多様な視点がチームに多くのメリットをもたらしています。

外国籍メンバーが自分の意見をしっかり主張してくれることは、非常にポジティブなことだと柄澤さんは語ります。ミツモアでは、主体性を持って行動することを大切にしており、意見を述べることは重要な価値観の一つになっています。メンバーが積極的に意見を交わし、自分の視点をしっかり主張することで、より多角的なアプローチが可能になっていると感じられています。例えば設計や技術選定に関する議論も活発に行われており、その結果、エンジニアリングの側面で新たな視点を取り入れることができているそうです。そのため、外国籍メンバーの存在はチーム全体の成長を促進する上で大きな助けとなっているそうです。

また、率直なフィードバックを求める文化が広がったのも、グローバルなエンジニアチームの利点です。もちろん、相手への配慮も求められますが、率直なフィードバックを伝えることは日本人メンバーにとってプラスになることも多いそうです。外国籍メンバーとの協働を通じて、率直にフィードバックを伝える文化が浸透してきているのです。

さらに、日本ではまだ馴染みの少ない開発ツールやSaaSを早い段階で導入することも多く、それがプロダクトの競争力向上につながっています。ミツモアのプロダクトは日本市場向けですが、海外のプロダクトやサービスを理解し、その良いところを迅速に取り入れることができるのも多国籍チームならではの強みです。

終わりに

ミツモアのミッションは「日本のGDPを増やし 明日がもっといい日になる と思える社会に」です。このミッションを実現する上で、多様性に富んだチームが重要な役割を果たしています。

グローバルな開発環境によってプロダクトの進化するスピードもさらに加速し、経済産業省主催の「日本スタートアップ大賞2023」にて経済産業大臣賞(ダイバーシティ賞)を受賞しているミツモア。また、週刊東洋経済が主催する「すごいベンチャー100」2023年版にも選出されるなど、国内での注目度も高まっています。

グローバルなエンジニアチームを持つミツモアのさらなる成長を、TokyoDevは引き続き応援していきたいと思います。

著者について

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髙木早弥奈

グローバル採用コンサルタント

2019年から人材業界に携わっています。様々な国籍のソフトウェアエンジニアの日本での就職サポートを強みにしています。

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