女性エンジニアをチームに採用するための4ステップ

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Ann Kilzer

Contributor to TokyoDev

この記事はAnn KilzerによるA four-stage approach for hiring women on your engineering teamの日本語訳です。

「チームに女性エンジニアが欲しいけど、なかなか応募がこない」という話は、日本でも私の母国であるアメリカでも、スタートアップの創業者からよく聞きます。

チーム内の性別にもっと多様性を持たせたいと同じように考えている人がいれば、ぜひこの記事を読み進めてみてください。もっと多くの女性エンジニアに興味を持ってもらい応募を検討してもらうだけでなく、実際に雇用し働き続けてもらうための戦略を紹介します。ここでの内容は、3人だけの小さな会社から2万人規模の企業まで、色々な会社で12年以上ソフトウェア・エンジニアとして私自身が学んできたことに基づいています。

それに加えて、テック業界で活躍する女性を支援する非営利団体の支部であるWomen Who Code Tokyoのシニアディレクターとしての経験、そして読書やメンタリングから得た学びも織り交ぜてお伝えしたいと思います。

具体的な話に入る前に、頭に入れておいてほしいのは「 完璧主義では進歩しない」ということ。アジャイルなソフトウェア開発と同じように、昨日よりもよくなることを目指し、失敗から学び、前進するのだということを心に留めておいてください。

また、この記事では主に男女のバランスに焦点を当てていますが、LGBTQIA+(ジェンダーの多様性にはノンバイナリーも含まれます)、国籍、人種、障がいの有無など、多様性においては他にも考慮すべき重要な点があるということも認識しておいてください。

4段階のステップ

今より多くの女性を採用するために必要なプロセスは下記の4つのステップです。

  1. 現状を評価する
  2. 関心を持ってもらう
  3. 採用する
  4. 働き続けてもらう

女性エンジニアの採用を希望する企業の多くは、3.の採用段階の改善から着手します。一方で、社内におけるジェンダー多様性の現状を評価したり、女性にとって魅力的な会社にするための努力は後回しにしがち。そのため、改善の効果は限定的か、ほとんど見られないというのがよくあるパターンです。

では、各ステップを詳しく見ていきましょう。

ステップ1:現状を評価する

最初のステップは、男女の多様性という観点から自社のありのままの現状を評価すること。同時に会社を率いるリーダーとして女性をサポートするための知識を深めていきましょう。

なぜ会社に多様性を持たせたいのかを理解する

まず最初に「なぜ自分の会社に多様性を持たせたいのか 」を自問し、改めて考えてみるのがいいでしょう。(多様性を理解していなかったり望んでいない企業もありますが、ここまでお読みいただいた方にはそういった部類の人はいないと信じています😃)。

注意点:「女性は救われるべき存在だ」といった考えや、多様性への取り組みは「慈善事業だ」とか「ハードルを下げるため」といった動機を捨てることが最初の一歩です。

企業が多様性を求める理由

  • ニューヨーク・タイムズ紙によれば、顧客との距離感が近くなり、市場に適した製品であることに自信を持てるようになる
  • カリフォルニア大学バークレー校の記事によれば、多様性に富んだチームのほうがより優れたイノベーションやアイディアを生み出している実績データがある
  • 日本人と外国人、両方の能力を併せ持つ企業は、競争の激しいグローバル市場においてより優れたイノベーションを起こすことができる
  • 多様性は公平な待遇につながるため、性別、人種、性的指向、カースト、信仰に関係なく誰でも成功することができる

「自分は歓迎されていない」と女性が感じてしまう障壁を見つける

多様性を持たせたい理由を自覚したら、次は「私は歓迎されていない」と女性が感じてしまう要素が社内にないかを検証してみましょう。この検証にはより深い内省が求められます。必要な時間を十分に割くようにしましょう。繰り返しますが、完璧主義にはならないように!改善できるところを探してみましょう。

  • あなたの会社には厳しい勤務体系や残業はないですか?TIME誌によると、家事を担う役割は女性に偏っているため、柔軟性のない働き方は女性の活躍を妨げる可能性があります。高見具広氏による2018年の記事でも、「残業文化は会社で活躍する女性にとって障壁である」と断言しています。保育園の送り迎えなどの用事を終日許可したり、家族が病気の時には在宅勤務を認めることなど柔軟な働き方を検討しましょう。また、産休や育児休暇など長期的なライフイベントでも柔軟性も考慮しましょう。
  • 社内での言葉遣いはどうですか?「戦いの場」「権力者」「お前ら・あいつら」といった男性的な言葉が、女性には居心地の悪い空気を作り出しているかもしれません。また、セクハラ的な言葉や下ネタは未然に防いでいく必要があります。興味深いことに、男性でもそういった話題に嫌気を差している人がたくさんいます。
  • 社内チームの交流や関係性の構築はどのようにしていますか?夜遅くまでお酒を飲むような付き合いばかりでは、女性は居心地が悪いかもしれません。子供がいる人だと、平日の夜遅くの外出が難しい場合もあります。時々チームで飲みにいくのは楽しいことですが、ランチ会など別の方法でもチームが交流し関係を構築できる機会を設けるようにしましょう。どんな場合でも、ソフトドリンクを用意することを忘れずに。

職場における男女平等について学ぶ

本記事は、職場における男女平等の入門編に過ぎません。男女平等についてより広くカバーしている本はたくさんあります。特に、職場の男女平等を推進する際には男性こそが重要な役割を担うことを示した『The Good Guys』や、ジョアン・C・ウィリアムズとレイチェル・デンプシーの共著『What Works for Women at Work』はぜひ読んでみてください。

先入観を取り払っていく

「女性の採用基準を下げるべき?」

これは職場の男女平等を実現していこうとする話し合いの場で、私がよく耳にする質問です。

これは一筋縄ではいかない質問ですので、ここではわかりやすく返答するために触れておく程度にしておきます。この質問が単純じゃない理由。それは、下記のような数々の思い込みによって発せられているからです。

  • 私たちは公正な雇用システムのもと実力主義社会に生きている
  • 女性は男性よりも理数系に不向きである
  • 女性を雇用することは見当違いな慈善事業のようなものだ
  • DEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)はその場しのぎの「ちゃんとやってる感」を出せる取り組みだ

こういった思い込みに対しては『Brotopia』という素晴らしい本で理解を深められます。本の中では、エミリー・チャンが「実力主義」という言葉がどのようにして生まれたかを分析し、女性タイピストや「人間計算機」の分野から男性優位の産業へとコンピューターサイエンスがどのように変遷していったかを説明しています。

とはいえ、私は、実力不足の女性をあなたの会社で採用してほしいと考えているわけではありません。そんなことをしても誰も得をしません。会社にとっても、そして活躍できないポジションで採用された女性にとっても何のメリットもないですから。

技術的に優れた女性はいないとか、女性は面接が得意だからといった俗説もあります。女性が成功したら男性が損をするというような男女間のゼロサム思考につながる思い込みには注意しましょう。性別に関わらず誰もが成功できる未来はあります。また、一般論ではなく、科学的研究や実体験を発展させるようにしていきましょう。

ステップ2:関心を持ってもらう

次のステップは会社の対外戦略を軌道修正し、女性候補者に関心を持ってもらえるようにすることです。対外的な発信の中に女性を遠ざけるような要素がないか、チェックしてみましょう。

求人票はインクルーシブに

「求人を見てその会社のことを初めて知った」というのは、よくあることです。そのため、「自分が求められている」と女性に感じてもらえる求人票にすることが重要です。インクルーシブな求人票を作るためのヒントは下記の通り。

性別を決めつける人称を避ける

「彼らは日々の業務の中でソフトウェアシステムを設計し…」などのように「彼の」や「彼」を使わないこと。性別にとらわれない表現に置き換える工夫をしましょう。

社員の説明に流行りの言葉を使わない

“rockstar”や”hacker”、”ninja”といった愛称は女性から嫌悪されるだけでなく、まるで2010年代初頭に逆戻りしてしまったかのような印象を与えてしまいます。

必須条件は絶対に必要なものだけに絞る

実際には歓迎条件でもいいようなことも書かれているなど、条件リストが長すぎると女性は怖気づいてしまいます。必須条件(required)と歓迎条件(nice to have)を明確にしましょう。HBRの記事によると、男性は60%以上条件を満たしていれば応募する一方、女性は条件の100%を満たさない限りその求人には応募しない傾向があります。

女性に言及するときの表現に注意する

女性のことを言う時に使う言葉と表現に注意しましょう。これを間違えると、女性を歓迎したいという気持ちが裏目に出てしまうことがあります。下記のような繊細なニュアンスに気をつけるようにしましょう。

  • 「女性」: 名詞形または形容詞形で成人女性を指します。
  • 「ガール(女子)」: 女性の子供を指す。「Girls’ Night(女子会)」のような社交的・カジュアルな場でかわいく使われることがありますが、矮小な表現なので、仕事の場での使用は避けること。
  • “Female”(女性): 過度に生物学的な響きがあります。動物を指すこともあるため、名詞としての使用は避けましょう。形容詞としては使うこともありますが、私は “women “のほうが個人的には好きです。
    例:”We want to hire more females.” ⇒ “We want to hire more women.”

インクルーシブな求人票を作るために他のリソース

インクルーシブな求人票がどんなものかについては、Gem Sioconのブログ記事がとても参考になります。また、Gender Decoderという無料ツールを使えば、用意した求人票がインクルーシブな表現になっているかをチェックすることもできます。

経営陣のブランディングがジェンダー多様性を促進するよう徹底する

ジェンダー多様性という観点から、自社の経営陣のブランディングを見直してみましょう。男性優位で改善しようとしていない組織よりも、すでに多様性における改善を試みている組織に女性は入りたいと思いやすいものです。

すでにあるジェンダー多様性をアピールする

男性中心の組織であっても、社内に女性がいる場合もあると思います。彼女たちの協力を仰ぎ、彼女たちにスポットライトを当てる方法を考えましょう。例えば、イベントでスピーチをしてもらったり(そのためのリソースを彼女たちに提供したり)、ウェブサイトに彼女たちのプロフィールを掲載するのもいいでしょう。ただし、女性全員がそういったことをやってみたいと思っているわけではないので、プレッシャーを感じさせないように配慮しましょう。

ジェンダー多様性に欠けるイベントへは参加しない

残念ながら、日本では男性だけのパネルディスカッションや大勢のスピーカーがいるのに女性は一人もいないといったカンファレンスは珍しくありません。会社がこのようなイベントに参加していると、女性を軽視している組織だと誤解されかねません。

もし、自社の男性社員がそのようなイベントのスピーカーとして招かれたら、そのイベント主催者にこの問題を提起してみましょう。社内にスピーカーとしてふさわしい女性がいれば、代わりにその女性を推薦するのもいいでしょう。それが難しい場合には、私がTutti QuintellaとYan Fanと一緒に作ったSpeakHerのようなリソースを使って、そのトピックに適任の女性スピーカーを探すよう主催者に伝えてもいいかもしれません。

あなたの会社の経営陣は、男性だけのパネルでイベントを主催したり講演をしていませんか?LinkedInの写真はほとんどが男性という状況になってしまっていませんか?

多様性を推進する団体に参加する・スポンサーになる・協力する

テック業界の女性との関わりを作れる場所はいくつかあります。下記は東京で活動している団体で、その多くが男性の参加も歓迎しています。

  • Women Who Code - 世界的な非営利団体で、技術職女性のエンパワーメントに力を入れています。イベントは無料で性別を問わず参加可能。ほとんどのイベントが英語で行われます。
  • Code Polaris - 日本語で運営されている団体で、テック業界の女性を支援しています。
  • Waffle - テクノロジー分野の女子高生・女子大生を支援する日本のNPO団体です。
  • FEW Japan - テック系の団体ではないですが、日本の女性リーダーや起業家を支援する素晴らしい団体です。
  • Women in Agile Japan - 日本に100人の女性アジャイルリーダーを誕生させることを目指す日本語のコミュニティです。
  • Women in Technology Japan - テック分野の女性をサポートするローカルコミュニティです。海外メンバーもたくさんいます。

ステップ3:採用する

おめでとうございます!あなたの会社は女性が応募してくる段階まで到達しました。次は、自社にマッチする候補者を見つける採用プロセスを構築する方法です。

暗黙のバイアスがないか採用プロセスを見直す

最初にすべきことは、現状の採用プロセスに暗黙の偏見がないかの確認です。暗黙の偏見とは、偏見や先入観に基づいた意図しない行動を取ること。数多くの研究で、よりよい評価基準やシステムがバイアスを取り除き、意思決定を改善できることを示しています。

これを実行するために「現状の採用プロセスは、このポジションに適した人材を採用できるように設計されているか?」と自問してみてください。

というのも、ポジションへの適性とは無関係な要素に基づいて候補者を優遇することがよくあるからです。一例を挙げると、採用会議で 「とても社風に合っていて一緒にビールを飲みたいくらいだ」と気に入った面接候補者のことを話す同僚の男性に、私は腹を立てたことがあります。

ビールを飲むのが仕事なら、その人を採用すればいいでしょう。でも私の仕事は優れたソフトウェアを作ること。そのため、下記のような能力を正しく見極める評価基準が必要なのです。

  • 技術的基礎
  • 問題解決能力
  • コミュニケーション能力
  • リーダーシップ(レベルによる)
  • 協力/チームワーク
  • フィードバックを受け・改善していく能力
  • テスト/品質 志向のマインドセット

「カルチャーフィット」や「 親近感バイアス(自分に似ている人を好意的に評価すること)」を避け、 代わりに 「文化的な付加価値」に 目を向けましょう。会社のカルチャーを健全な方向に導いてくれる人材を探すのです。また、建設的な方法で違いを埋められるよう、お互いに協力することとフィードバックについてチームを指導しましょう。

同一労働同一賃金を提供する

2024年の今でもなお、同一賃金が問題になっているのは驚きかもしれませんが、昨年のノーベル経済学賞は、まさにこの問題を研究したクラウディア・ゴールデンが受賞しました。日経アジアも最近の記事で男女の賃金格差について論じており、長時間労働を要求する「貪欲」な労働文化が、いかに女性が高賃金の仕事にとどまることを難しくしているかを取り上げています。欧米では、女性は男性よりも給与交渉が成功しにくいという実情もあります。

日本特有の課題は、応募者が現在の報酬を申し出ることが一般的になっていることです。過去の給与額に基づいて今後の給与が決定されるため、不公平な給与体系が今後も長く続いていく可能性があります。とはいえ、希望もあります。2014年のハーバード大学の研究によると、採用の際の話し合いで女性に交渉権を与えることで賃金格差が縮まることが示唆されています。

社内のさまざまなレベル・役職で女性を雇用する

女性はキャリアをスタートして間もない人ばかりではありません。上級職に女性がいると、採用候補者に対して社内で成長できる可能性を示すことができます。また、女性社員のロールモデルとなるほか、意思決定に女性の声を確実に反映させることもできます。

ステップ4:働き続けてもらう

この段階まできたら、あなたの会社の多様性は増しているはずです。最後は、入社した社員を成功へと導くためのステップ。ここを間違わなければ、社員は個々の能力を発揮して優れた製品を生み出してくれるだけでなく、多様性に富んだ人材をさらに採用しやすくなっていきます。

#メンタリングの機会を提供する

メンタリングは能力を引き出し、より優秀な社員を輩出し、社員の意欲を維持する実に素晴らしい方法です。大企業であれば、メンタープログラムを提供する機会は十分にあるかもしれません。女性のロールモデルが社内にいれば女性には有益ですが、男性のメンターでも双方の参加者に非常にいい機会になる可能性もあります。

たとえ小規模な会社であっても、人材育成のために外部機関を活用したメンタリングを検討しましょう。ADPListは世界中のメンティーとメンターをつなぐ便利なサイトで、すべて無料で使えます。

昇進で成長を評価する

評価と成長の場を設け、それらに応じて特筆すべき実績を正しく評価しましょう。採用ステップで使った偏見を取り払うためのテクニックをここで使ってみてもいいかもしれません。What Works For Women at Work」の「Prove-it-again」という先入観に関する章もぜひ参考にしてください。男性はポテンシャルで評価されるのに対し、女性は過去の実績を再現することを求められる傾向について論じています。こうした思考パターンを理解すると無意識に潜むバイアスを認識し、改善できるようになります。

女性のキャリアをサポートする一番いい方法の一つはスポンサーシップです。スポンサーシップとは、組織内でスポンシー(支援を受ける人)の昇進を支援するために働きかけてキャリア形成を支援すること。研究によると、単なるメンターシップよりもスポンサーシップのほうが女性のキャリアアップに役立つことが示されています。

社内のDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を支援する

DE&Iの支援もまた、女性がその会社で幸せに働くためのカギになります。LeanIn.orgによる無料のアライシップ・トレーニングを活用すれば、ほとんど予算が取れない小さな会社でもDE&Iプログラムを自分たちで立ち上げることは可能です。会社が成長するにつれ、イニシアチブをサポートし帰属意識を高める方法として、従業員リソース・グループ(ERGs)を結成する会社が増えます。こうした従業員グループは、そのグループのリーダーとしての仕事が単なるボランティアではなく、組織のためのリアルな業務と位置付けられているほうが成功しやすい傾向にあります。リアルな業務として位置付けるとは、つまり、DE&Iの支援をその企業の金銭的価値の一部として捉え、どのぐらいの時間をそこに割くかという期待値も設定するということです。大企業の場合は、DE&I支援にフルタイムで従事するスタッフがパートタイムのメンバーを補うことで、この業務にともなう精神的な負担をやわらげることもできるでしょう。

人事プロセスを確立する

ちゃんとした人事プロセスがなかったり確立されていないというのは、小さな組織(あるいは規模拡大の移行期にある組織)の課題です。とはいえ、これはリスクにもなりうるため、準備しておいて損はありません。

トラブルや衝突を健全に解決するための手段は持っておくようにしましょう。解決を拒否していても問題を先送りしているだけ。同じ問題がより悪い形で再び生じてしまいます。このテーマに関してはCrucial Conversationsという素晴らしい本があります。

子育て中の社員に優しい社則にする

子育て中の人に優しい社則は、性別に関係なく従業員にとって嬉しいもの。とはいえ、身体的な負担が大きい妊娠や出産、そして母親の肩に掛かる社会的な期待のため、女性のほうが圧倒的に恩恵を受けることが多いでしょう。

授乳スペースを設置する

授乳中の女性には、搾乳・授乳ができるようにプライバシーが確保され、静かで衛生的なスペースが必要です。思うように授乳ができないと胸が張り耐えがたい痛みが生じることがありますし、赤ちゃんに十分な栄養を与えることもままなりません。トイレの中で料理をしたい人はいませんよね。同じように授乳スペースは女性トイレでは不十分なのです。また、授乳スペースは自由に出入りできる場所ではないことを社員に理解してもらいましょう。会議室を探している同僚がドアから入ってきたり、インターンが仮眠をとるために使うなど、いつ邪魔をされるかわからないようでは女性に過度なストレスを与え、授乳・搾乳ができないといった状況を生み出しかねません。

子育て中の社員がフレキシブルに働けるようにする

子供が病気の時の世話や保育園・学校の送り迎えのために子育て中はリモートワークが必要な場合があります。

産休について管理職を教育する

法律で禁止されていてもなお、妊娠した女性が仕事上の不利益を被るマタハラ(マタニティ・ハラスメント)が日本では横行しています。産休の申請が簡単にできるよう、管理職への教育を徹底しましょう。

男性の育児休暇を推進する

法律上、父親は育児休暇を取得できることになっています。子供が生まれた男性に育児休暇の取得を促しましょう。古い慣習や先入観で女性に任せるものとされていた義務を男性が当たり前に分担していくいい機会になるはずです。

残業を禁止する

掃除、料理、育児などの家事を担うであろう妻がいる男性は残業を期待されることが多い傾向があります。共働きの異性カップルであっても、女性の方が家事をより多く担うものだとされることもしばしば(「セカンドシフト」と呼ばれます)。合理的な勤務時間を設定することで、公平な労働環境を整えられるだけでなく、社員みんなの燃え尽き症候群も防げるかもしれません。

まとめ

さて、ここまで4つのステップを学んできましたが、ここから先はどうすればいいのでしょうか?DE&Iは過程であり、決して最終目的地ではありません。これまでの成果を評価し、それを基盤にしてさらなる成長を目指しましょう。LGBTQIA+、障がい者、ニューロダイバーシティ、国籍や文化など、インターセクショナリティにおける多様性をあなたの会社が支援できる方法を探してみてください。

最後に、この記事を読んでくれたこと、そして東京のテック業界をもっとインクルーシブにすべく気にかけ、考え、行動してくださることに感謝します。いつか、どこかのイベントであなたにお目にかかれると嬉しいです。

筆者注:本記事の見解は私個人のものであり、現在の雇用主の見解を反映するものではありません。どの例も私の現在の職場から引用したものではありません。

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Ann Kilzer

Contributor to TokyoDev

Ann is a creative problem solver whose work spans multiple disciplines, from software engineering to visual arts. As a leader in the technology field, she champions equality and works to create belonging for underrepresented groups. Her determination and passion gets results, from serving as the first engineer at a startup, to a leap of faith move to Japan to build a new life, even though she hadn’t found a job yet.

She grew up in Montana, USA, and enjoys spending time in nature. In her spare time she studies Japanese painting, calligraphy, and indigo dyeing. She currently works as a Software Architect, and volunteers as a Senior Director for Women Who Code Tokyo.

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