はじめに
ソフトウェアエンジニアの給与設定に頭を悩ます経営者やマネージャー、人事担当者は多いのではないでしょうか?日本のソフトウェアエンジニアの給与は海外と比較すると決して高いわけではありません。日本の厚生労働省が実施した2023年の調査によると、日本のソフトウェアエンジニアの平均年収は520万円で、これは全体の平均給与480万円を少し上回っています。
一方、TokyoDevが2019年から毎年実施している、日本で働く外国籍エンジニアに関する調査では回答者の給与の中央値は850万円でした。この300万円以上の差はどこから来ているのでしょうか?
外国籍エンジニア採用の際の給与設定において、外国籍エンジニアと典型的な日本人エンジニアの両方の給与体系を理解しておくことは重要です。自社のソフトウェアエンジニアの給与設定の参考にしてもえるよう、この記事ではTokyoDev独自の調査結果と一般的な日本人エンジニアを対象にした調査を比較してみます。
日本における外国籍エンジニアの給与動向
TokyoDevが2019年に最初の調査を実施して以来、日本で働く外国籍エンジニアの給与は2022年まで大幅に上昇し、中央値は700万円から950万円と36%増加しました。2023年には中央値が初めて減少し、850万円でした。
2023年の減少の要因として考えられることは、回答者の変化です。2022年には7年だった回答者の経験年数中央値は、2023年には5年に減少しました。また同時に、2022には63%だった日本企業勤務者の割合が2023年には69%に増加したことも影響していると考えます。外資系企業の子会社や日本支社で働く回答者の給与中央値は1300万円に届く一方、日本企業で働く回答者では750万円と両者には大きな差があります。このため、日本企業で働く回答者の割合が増加すると、全体の給与中央値が下がる結果になります。
TokyoDevの調査による年別の給与中央値
賃金構造基本統計調査との比較
厚生労働省が毎年実施する「賃金構造基本統計調査」では、ソフトウェア作成者(仕様決定、設計、プログラミングなどの業務に従事する者)に分類される約60万人のデータを収集しています。
この調査によると、ソフトウェア作成者の平均給与は2020年から2023年にかけて480万円から520万円に8%増加しました。TokyoDevの調査結果ほど顕著ではありませんが、市場全体としてソフトウェア開発者の給与が上昇していることがわかります。
賃金構造基本統計調査による年別の平均給与
TokyoDevの調査結果が存在しないため、2019年以前のデータは比較できませんでした。なお、2019年の賃金構造基本統計調査では職業名が「プログラマー」となっており、その平均給与は390万円でした。従来の日本では仕様をコードに変換するだけの業務従事者をプログラマー呼んでいたため、給与も低く設定されていました。そのため、近年の「ソフトウェア作成者」とは回答者の属性も異なると想像できます。
経験年数別の給与
経験年数はエンジニアの給与を決定する重要な要素のひとつです。TokyoDevの調査では、経験年数が1年未満のジュニアエンジニアの給与中央値は450万円、7年〜9年のシニアエンジニアの給与中央値は950万円でした。
TokyoDevの調査による経験年数別の給与中央値
経験年数 | 給与中央値 |
---|---|
1年未満 | 450万円 |
1〜3年 | 550万円 |
4〜6年 | 750万円 |
7〜9年 | 950万円 |
10〜12年 | 1050万円 |
13〜15年 | データ不足 |
16〜20年 | データ不足 |
20年以上 | 1450万円 |
賃金構造基本統計調査との比較
2023年の賃金構造基本統計調査では、経験のないソフトウェア作成者の平均給与は370万円であり、2022年の300万円から大きく増加しました。他の経験年数における給与は大きく変わらないことから、これが市場動向の変化を反映しているのか、回答者の属性の変化を反映しているのかは不明です。
賃金構造基本統計調査による経験年数別の平均給与
経験年数 | 平均給与 |
---|---|
0年 | 370万円 |
1〜4年 | 410万円 |
5〜9年 | 470万円 |
10〜14年 | 570万円 |
15年以上 | 620万円 |
TokyoDevの調査と比較すると、経験年数が浅いエンジニアにおいては給与の差はそれほど大きくありませんが、経験を積むにつれて大きくなります。例えば、賃金構造基本統計調査においては15年以上の経験を持つ回答者の平均給与が620万円です。一方、TokyoDevの調査では経験年数が4〜6年のエンジニアの給与中央値がすでに750万円となっています。ここには日本と海外のエンジニアの給与体系の大きな差が表れています。
Qiitaのエンジニアホワイトペーパー2023との比較
Qiitaは日本のエンジニアが知識を共有するためのサービスです。Qiitaの「エンジニアホワイトペーパー2023」では、ユーザーからの2700以上の回答に基づいたアンケート調査の結果がまとめられています。
回答者はTokyoDevの回答者と類似しています。しかし、日本人エンジニアを対象としているため、いくつか異なる点も見受けられました。
Qiitaのエンジニアホワイトペーパー2023による経験年数別の給与
経験年数 | 300万円未満 | 300万円〜490万円 | 500万円〜790万円 | 800万円〜990万円 | 1000万円〜1490万円 | 1500万円以上 |
---|---|---|---|---|---|---|
経験なし | 26% | 30% | 29% | 12% | 3% | 0% |
1年未満 | 37% | 47% | 13% | 2% | 2% | 0% |
1〜3年 | 23% | 53% | 13% | 2% | 2% | 0% |
3〜5年 | 10% | 42% | 43% | 4% | 1% | 0% |
5〜10年 | 4% | 34% | 45% | 12% | 6% | 0% |
10〜20年 | 4% | 19% | 46% | 19% | 11% | 2% |
Qiitaのエンジニアホワイトペーパー2023では、給与の平均値ではなく特定の給与範囲に属する回答者の割合を示しています。そのため、給与の平均値や中央値を算出したTokyoDevのデータと単純に比較することはできません。ただ、エンジニアホワイトペーパー2023の回答者がTokyoDevの回答者よりも給与が低いことは明確に表れています。例えば、TokyoDevの回答者のうち10〜12年の経験を持つエンジニアの50%以上が1000万円以上の給与を得ているのに対し、Qiitaでは10年以上の経験を持つエンジニアで1000万円以上の給与を得ているのは13%だけでした。
年齢別の給与
日本では終身雇用があり、勤務年数が長くなるほど給与が増加していく年功序列制度が習わしでした。しかし、TokyoDevの回答者が働いている企業では、年齢よりも経験が重要であると考えられている印象です。ここではForkwellの調査レポートとTokyoDevの調査における年齢別の給与データを比較します。
TokyoDevの調査による年齢別の給与中央値
年齢 | 給与中央値 |
---|---|
20〜29 | 650万円 |
30〜39 | 850万円 |
40〜49 | 1050万円 |
Forkwellの調査との比較
Forkwellは日本のソフトウェアエンジニアが転職を希望する際に利用するプラットフォームを提供しています。Forkwellの調査レポートでは1万人以上の登録ユーザーのデータに基づいた年齢別の給与内訳を見ることができます。
Forkwellの調査による年齢別の給与中央値
年齢 | 給与中央値 |
---|---|
20〜24 | 420万円 |
25〜29 | 470万円 |
30〜34 | 530万円 |
35〜39 | 600万円 |
40〜44 | 650万円 |
45〜49 | 700万円 |
ここでもTokyoDevの回答者はForkwellの回答者よりも高い給与を得ていることがわかります。最も若い回答者では給与額の差は31%でしたが、30〜34歳では79%もの差がありました。
男女別の給与
TokyoDevの回答者のうち10%が女性で72人でした。女性の給与中央値は男性よりも低く、経験中央値は男性が8年に対して女性は2年でした。
賃金構造基本統計調査との比較
賃金構造基本統計調査では経験と性別による給与内訳が示されていますが、すべての経験年数において女性ソフトウェア作成者の給与が男性よりも低いことがわかりました。
賃金構造基本統計調査による女性の経験年数と給与
賃金格差 | 全体 | 0年 | 1〜4年 | 5〜9年 | 10〜14年 | 15年以上 |
---|---|---|---|---|---|---|
2023年 | -28% | -30% | -14% | -18% | -20% | -14% |
2022年 | -26% | -4% | -16% | -28% | -19% | -16% |
2021年 | -19% | -7% | -13% | -7% | -13% | -11% |
年ごとの賃金格差の変動が大きく、全体的な賃金格差は上昇傾向にあるのが気になる点です。
一方、ソフトウェア作成者全体に占める女性の割合は増加傾向にあり、2023年は回答者の21%が女性でした。
賃金構造基本統計調査による女性の割合
女性回答者の割合 | 全体 | 0年 | 1〜4年 | 5〜9年 | 10〜14年 | 15年以上 |
---|---|---|---|---|---|---|
2023年 | 21% | 32% | 30% | 28% | 16% | 11% |
2022年 | 19% | 30% | 23% | 22% | 16% | 12% |
2021年 | 18% | 23% | 24% | 18% | 14% | 12% |
5〜9年の経験を持つ女性の割合が2021年の18%から2023年には28%に増えるなど、経験年数10年未満の女性において増加傾向が最も顕著です。
Forkwellとの比較
311人の男性エンジニアと126人の女性エンジニアを対象にしたForkwellとbgrassの共同調査では、エンジニアの平均給与、週あたりの労働日数、1日あたりの労働時間から時間単価を算出し、フルタイム労働を前提とした「理論的年収」を測定しました。
その調査結果は賃金構造基本統計調査と同様に、キャリアの中盤にいる男女間での賃金格差が最大であることを示しています。5〜9年の経験を持つエンジニアで年収が500万円以上の割合を比較すると、女性が27%だったのに対し、男性は47%でした。
Forkwellによる女性と男性の給与比較
経験年数 | 500万円未満 | 500万円〜800万円 | 800万円以上 |
---|---|---|---|
女性 | 男性 | 女性 | 男性 |
1〜4年 | 91% | 88% | 9% |
5〜9年 | 73% | 54% | 24% |
10年以上 | 30% | 31% | 48% |
Forkwellは会社の業種による男女間の賃金格差も調査しています。その結果、自社でIT/Webサービスを作っている企業とアウトソーシング会社の間で特に大きな男女差があることが示されています。アウトソーシング会社では、年収500万円以上の割合は女性で11%ですが、男性では39%となっています。
Forkwellによる業種と女性・男性の給与比較
業界 | 500万円未満 | 500万円〜800万円 | 800万円以上 |
---|---|---|---|
女性 | 男性 | 女性 | 男性 |
IT/Webサービス | 55% | 48% | 37% |
アウトソーシング | 88% | 61% | 9% |
会社の種類別の給与
TokyoDevの回答者の給与が他の調査の回答者よりも高い理由のひとつは、彼らが働いている会社の種類です。22%が海外に本社がある企業の子会社で働いており、6%が日本に法的実体を持たない会社で働いています。これは日本で働くエンジニア全体で見た場合と比較すると、はるかに高い割合だと考えています(ただし、それを裏付けるデータは見つかりませんでした)。
下記のデータでは海外本社の子会社で働く回答者の給与中央値が、国内企業で働く回答者のほぼ2倍であることを示しています。他の調査との差を説明する重要なデータと言えます。
TokyoDevの調査による会社の種類別の給与中央値
会社の種類 | 2023 | 2022 | 2021 | 2020 |
---|---|---|---|---|
日本に実体を持たない会社 | データ不足 | 1150万円 | 850万円 | 1050万円 |
海外本社の子会社 | 1300万円 | 1450万円 | 1150万円 | 900万円 |
日本企業 | 750万円 | 750万円 | 750万円 | 650万円 |
個人事業主 | データ不足 | 700万円 | 650万円 | 850万円 |
日本企業の報酬は安定している一方で、海外に本社のある企業の子会社の報酬は年ごとに大きく変動しています。2020年には900万円ですが、2023年には1300万円(前年よりは150万円減少)となっています。日本企業と比較すると2020年は38%、2023年は73%も高い給与であることがわかります。
雇用者数別の給与
TokyoDevの調査では、雇用者数が増えると給与も増加することがわかりました。従業員が10~19人の企業では給与中央値が650万円、1万人以上の企業では1250万円でした。
TokyoDevの調査による従業員数別の給与中央値
従業員数 | 給与中央値 |
---|---|
10~19人 | 650万円 |
20~99人 | 750万円 |
100~499人 | 750万円 |
500~999人 | 850万円 |
1000~4999人 | 1250万円 |
5000~9999人 | データ不足 |
10000人以上 | 1250万円 |
賃金構造基本統計調査との比較
賃金構造基本統計調査でも、従業員数が増えると報酬が増加しています。従業員が1000人以上の企業では、10~99人の企業よりも平均給与が10%高くなっていました。2022年には大企業の平均給与が47%増加していますが、調査対象の企業や市場の変化を反映しているのかは不明です。
賃金構造基本統計調査による従業員数別の平均給与
従業員数 | 平均給与 |
---|---|
1000人以上 | 540万円 |
100~999人 | 510万円 |
10~99人 | 490万円 |
ポジション別の給与
TokyoDevの回答者の中ではエンジニアリングマネージャーが最も高い給与となっています。このポジションの回答者の経験年数が他のポジションと比べて最も長いことが一因と考えられます。データサイエンティストは、経験が少ないにもかかわらず高い給与中央値となっていることもわかりました。
TokyoDevの調査によるポジション別の給与中央値と経験年数中央値
ポジション | 給与中央値 | 経験年数中央値 |
---|---|---|
エンジニアリングマネージャー | 1350万円 | 12年 |
データサイエンティスト | 950万円 | 5年 |
DevOpsスペシャリスト | 950万円 | 10年 |
クラウドインフラエンジニア | 950万円 | 8年 |
モバイル開発者 | 850万円 | 8年 |
バックエンド開発者 | 850万円 | 7年 |
フロントエンド開発者 | 750万円 | 6年 |
フルスタック開発者 | 750万円 | 6年 |
ゲーム開発者 | 650万円 | データ不足 |
Robert Halfとの比較
外資系人材紹介会社であるRobert Halfは、日本のソフトウェアエンジニアのポジションに対する給与ガイドを公開していますが、そこではTokyoDevの結果と大きく異ならない結果が示されています。Robert Halfは給与の高い層をターゲットにしているため、同様の結果となったと考えられます。
Robert Halfの調査によるポジション別の給与中央値
ポジション | 給与中央値 |
---|---|
バックエンドエンジニア | 830万円 |
ブロックチェーンエンジニア | 820万円 |
クラウドエンジニア/アーキテクト | 830万円 |
CTO/エンジニアリングVP | 1350万円 |
DevOps/SREエンジニア | 930万円 |
エンジニアリングマネージャー | 1250万円 |
フロントエンドエンジニア | 850万円 |
フルスタックエンジニア | 850万円 |
機械学習/NLP/AIエンジニア | 1050万円 |
プロダクトマネージャー/ソフトウェアアーキテクト | 950万円 |
QAエンジニア/テスター | 700万円 |
ソリューションエンジニア | 1100万円 |
IT/UXデザイナー | 750万円 |
学歴別の給与
コンピュータサイエンスまたは関連分野の学位を持つことは日本でビザを取得するのに役立ちますが、給与にはあまり関連していないようです。
TokyoDevの調査による資格別の給与中央値と経験年数中央値
資格 | 給与中央値 | 経験年数中央値 |
---|---|---|
修士 | 950万円 | 8年 |
学士 | 850万円 | 8年 |
なし | 750万円 | 5年 |
コーディングブートキャンプ | 650万円 | 2年 |
修士号の取得は給与の増加につながる可能性はあります。しかし、学士号取得後すぐに働き始めることで数年間の経験を積める機会を考慮すると、給与の観点からはあまり価値がないかもしれません。
日本語能力別の給与
日本語能力は給与と強い相関関係がないことがわかりました。
TokyoDevの調査による日本語能力別の給与中央値
日本語能力 | 給与中央値 |
---|---|
なし | 650万円 |
基本 | 850万円 |
会話 | 850万円 |
流暢 | 750万円 |
母語 | 850万円 |
日本語使用頻度別の給与
一方で、仕事での日本語の使用頻度が低いほど給与が高い傾向にあります。
TokyoDevの調査による日本語使用頻度別の給与中央値
日本語使用頻度 | 給与中央値 |
---|---|
使わない | 1050万円 |
稀に使用 | 950万円 |
時々使用 | 750万円 |
頻繁に使用 | 650万円 |
これは、回答者が働いている企業の種類に関連している可能性があります。というのも、海外に本社のある企業の子会社で働く回答者のうち仕事で日本語を全く使わない人は29%、頻繁に日本語を使う人は12%しかいないというデータがあり、海外企業の高い平均給与がここでも反映されていると考えられるからです。
プログラミング言語別の給与
Kotlinを使用する回答者の給与が最も高く、PHPやC#を使用する回答者が最も低いことがわかりました。
TokyoDevの調査によるプログラミング言語別の給与中央値
言語 | 給与中央値 |
---|---|
Bash/Shell | 950万円 |
C# | 650万円 |
C++ | 950万円 |
Go | 1050万円 |
HTML/CSS | 750万円 |
Java | 1150万円 |
JavaScript | 750万円 |
Kotlin | 1250万円 |
PHP | 650万円 |
Python | 950万円 |
Ruby | 850万円 |
Rust | 1050万円 |
SQL | 850万円 |
TypeScript | 750万円 |
Forkwellとの比較
Forkwellのレポートでは、年齢別にプログラミング言語ごとの給与がまとめられています。Go開発者の給与が一貫して最も高く、PHP開発者が最も低いことが示されていました。
Forkwellの調査によるプログラミング言語別の給与中央値
年齢 | Go | Ruby | Python | Java | PHP |
---|---|---|---|---|---|
20〜24 | 520万円 | 470万円 | 490万円 | 480万円 | 450万円 |
25〜29 | 580万円 | 540万円 | 530万円 | 510万円 | 500万円 |
30〜34 | 680万円 | 610万円 | 620万円 | 570万円 | 560万円 |
35〜39 | 720万円 | 670万円 | 680万円 | 630万円 | 620万円 |
40〜44 | 860万円 | 740万円 | 720万円 | 700万円 | 700万円 |
45〜49 | 860万円 | 780万円 | 800万円 | 740万円 | 710万円 |
Qiitaのエンジニアホワイトペーパー2022との比較
Qiitaのエンジニアホワイトペーパー2023では、GoおよびRustの開発者のうち25%以上の給与が800万円以上となっています。
Qiitaの調査によるプログラミング言語別の給与
言語 | 300万円未満 | 300万円〜490万円 | 500万円〜790万円 | 800万円〜990万円 | 1000万円〜1490万円 | 1500万円〜1990万円 | 2000万円以上 | 無回答 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
JavaScript | 11% | 30% | 37% | 11% | 7% | 1% | 1% | 3% |
Python | 8% | 24% | 40% | 15% | 8% | 1% | 1% | 4% |
PHP | 11% | 31% | 35% | 10% | 6% | 1% | 1% | 5% |
Java | 10% | 25% | 37% | 14% | 8% | 1% | 1% | 3% |
TypeScript | 6% | 25% | 41% | 13% | 11% | 0.2% | 1% | 4% |
Go | 9% | 16% | 45% | 17% | 9% | 0% | 1% | 4% |
Rust | 13% | 18% | 41% | 14% | 9% | 0% | 4% | 2% |
おわりに
TokyoDevによる調査結果を他の調査と比較すると、大きな違いがいくつか見られました。これは本文中でも述べたとおり、TokyoDevの回答者が典型的な日本のソフトウェアエンジニアとは異なることが大きな要因です。勤務先が外資系企業か日本企業かという違いが給与に大きな差をもたらしているからです。
経営者や人事担当者の立場で従業員の給与を決める際、日本企業であれば経験年数が3年のソフトウェアエンジニアの給与が400万円というのは妥当と感じられるかもしれません。しかし、TokyoDevのコミュニティにいるようなグローバルで活躍するエンジニアには400万円は低いと感じられやすく、よりよい条件の会社が他にあると思われる可能性もあります。
とはいえTokyoDevの調査に協力してくれた外国籍のエンジニアのうち、外資系企業で働く割合は約30%です。多いとは言え、それ以外の約70%が日本企業で働いているわけですから、外資系企業ほどの給与を支払えないからといって、採用ができないということでもありません。本記事で示した給与の差を念頭に置きつつ、給与面以外の自社の魅力で外国籍エンジニア獲得を目指してもいいかもしれません。