はじめに
自社で外国籍エンジニアを採用する場合には、候補者の在留資格申請の手続きが必要です。すでに有効な在留資格を取得してる外国籍であれば、すぐに就業を開始することが可能です。しかし、海外在住者を日本に呼び寄せて採用する場合には新規で申請し、許可を得なければなりません。
本記事では、外国籍エンジニアを採用する会社が申請することが多い「技術・人文知識・国際業務」ビザの取得に必要な手続きをまとめました。
申請は地方出入国在留管理局で
在留資格は地方出入国在留管理局に申請します。札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の8箇所に管理局があり、横浜、神戸、那覇、主要空港に支局があります。
新規申請の場合は採用する会社の所在地、更新申請の場合は申請する外国籍の住所地を管轄する地方出入国在留管理局か支局で申請します。各管理局の管轄は下記のとおりです。
管理局・支局 | 管轄の都道府県 |
札幌出入国在留管理局 | 北海道 |
仙台出入国在留管理局 | 宮城県、福島県、山形県、岩手県、秋田県、青森県 |
東京出入国在留管理局 | 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県、新潟県 |
名古屋出入国在留管理局 | 愛知県、三重県、静岡県、岐阜県、福井県、富山県、石川県 |
大阪出入国在留管理局 | 大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県 |
広島出入国在留管理局 | 広島県、山口県、岡山県、鳥取県、島根県 |
高松出入国在留管理局 | 香川県、愛媛県、徳島県、高知県 |
福岡出入国在留管理局 | 福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、鹿児島県、宮崎県、沖縄県 |
横浜支局 | 神奈川県 |
神戸支局 | 兵庫県 |
那覇支局 | 沖縄県 |
各管理局と支局では申請前の相談もできるほか、申請書も用意されています。なお、各種申請書は出入国在留管理庁のウェブサイトからダウンロードすることもできます。
また、郵送での申請はできませんが、オンライン申請は可能です。
「技術・人文知識・国際業務」ビザを新規で申請する場合
海外に住んでいるエンジニアを日本に呼び寄せて雇用する場合、日本に入国する前にあらかじめ在留資格認定証明書を国内で交付申請する必要があります。この証明書を持って候補者が住む国の日本公館でビザを申請すれば、通常5業務日以内にビザ発給を受けられます。
なお、すでに短期滞在のビザで日本に住んでいる外国籍の場合も、この在留資格認定証明書交付申請をすることでビザを変更できることがあります。
ビザ取得の条件を確認する
新規申請の際には候補者の経歴と従事予定のポジションや仕事内容との関連性も審査されます。候補者の学歴や職歴が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を満たしていることを念入りに確認しておくのがよいでしょう。上述した出入国在留管理局に事前に相談するのも有効です。
申請者は本人か会社
在留資格認定証明書交付申請は、申請人である候補者本人か雇用する会社が申請します。まだ候補者が日本に入国していない場合は、雇用会社の社員が代理で申請するのが一般的です。
提出書類
在留資格認定証明書交付申請の際に提出する書類は、雇用会社のカテゴリーによって異なります。例えば、上場会社や社員の給与所得の源泉徴収税額の合計が1,000万円以上の会社などは提出しなければならない書類が少なく、それ以外の中小企業は登記簿謄本や雇用契約書などの追加書類の提出が必要です。
会社のカテゴリーとそれぞれに必須とされる主な提出書類は下記のとおり。
カテゴリ−1 | カテゴリー2 | カテゴリー3 | カテゴリー4 | |
上場企業、 独立行政法人、 公共団体、 公益法人など | 社員の源泉徴収税合計額が1,000万円以上の会社 | 社員の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出した会社 | カテゴリー1~4のいずれにも該当しない会社(創業間もない会社など) | |
在留資格認定証明書交付申請書 | ⚪️ | ⚪️ | ⚪️ | ⚪️ |
申請者の証明写真 | ⚪️ | ⚪️ | ⚪️ | ⚪️ |
返信用封筒 | ⚪️ | ⚪️ | ⚪️ | ⚪️ |
上場していることを証明する文書など | ⚪️ | |||
前年分の法定調書合計表 | ⚪️ | ⚪️ | ||
雇用契約書など | ⚪️ | ⚪️ | ||
申請者の学歴を証明する書類 | ⚪️ | ⚪️ | ||
申請者の職歴を証明する書類 | ⚪️ | ⚪️ | ||
登記事項証明書 | ⚪️ | ⚪️ | ||
会社の事業内容などがわかる資料(パンフレットなど) | ⚪️ | ⚪️ | ||
直近の年度の決算文書の写し | ⚪️ | ⚪️ | ||
前年分の法定調書合計表を提出できない理由 | ⚪️ | |||
申請者のパスポートの写し | 必須ではないですが、名前の表記ミスを防ぐため提出するのが好ましいです |
申請にかかる時間
在留資格認定証明書交付申請書の記入も他の書類も、一般的な企業にとってそれほど準備が大変なものではありません。1ヶ月ほどあれば必要な書類は揃えられる場合がほとんどでしょう。
ただ、申請者の学歴を証明する書類を取り寄せるのに思いのほか時間がかかることも。卒業した大学や教育機関から発行された正式な証明書が必要になりますので、申請までに余裕を持って候補者に準備を依頼しましょう。
すべての書類を提出したら、審査に1〜3ヶ月程度かかります。
在留資格認定証明書が交付されたら、その日から3ヶ月以内に候補者は日本に入国する必要があることも留意しておきましょう。
手数料
在留資格認定証明書交付申請の申請には手数料はかかりません。
ただし、証明写真や返信用封筒に貼る切手の代金、登記事項証明書の取得にかかる他の諸費用はかかります。なお、ビザ発給時には所定の手数料がかかりますので、候補者が負担する必要があります。
「技術・人文知識・国際業務」ビザを更新する場合
すでに「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得している外国籍が、同じ在留資格でビザを更新したい場合、ビザの有効期限が切れる3ヶ月前から在留期間更新許可申請をすることができます。
申請者は本人
更新申請は原則として本人が行います。オンラインでの申請も可能です。
提出書類
在留期間更新許可申請で提出する書類も、新規で申請するとき同様、雇用会社のカテゴリーによって異なります。
カテゴリ−1 | カテゴリー2 | カテゴリー3 | カテゴリー4 | |
上場企業、独立行政法人、公共団体、公益法人など | 社員の源泉徴収税合計額が1,000万円以上の会社 | 社員の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出した会社 | カテゴリー1~4のいずれにも該当しない会社(創業間もない会社など) | |
在留期間更新許可申請書 | ⚪️ | ⚪️ | ⚪️ | ⚪️ |
申請者の証明写真 | ⚪️ | ⚪️ | ⚪️ | ⚪️ |
申請者のパスポート | ⚪️ | ⚪️ | ⚪️ | ⚪️ |
申請者の在留カード | ⚪️ | ⚪️ | ⚪️ | ⚪️ |
上場していることを証明する文書など | ⚪️ | |||
前年分の法定調書合計表 | ⚪️ | ⚪️ | ||
申請者の住民税課税証明書の納税証明書 | ⚪️ | ⚪️ | ||
雇用契約書など(今の会社で初めて更新申請をする場合) | ⚪️ | ⚪️ | ||
登記事項証明書(今の会社で初めて更新申請をする場合) | ⚪️ | ⚪️ | ||
会社の事業内容などがわかる資料(パンフレットなど) | ⚪️ | ⚪️ | ||
直近の年度の決算文書の写し | ⚪️ | ⚪️ | ||
前年分の法定調書合計表を提出できない理由 | ⚪️ |
申請にかかる時間
必要書類をすべて提出したら、審査と処理に2週間〜1ヶ月程度かかります。
手数料
更新申請が許可された場合、手数料として4,000円を納付する必要があります。
さいごに
在留資格の申請は難しそうなイメージがあるかもしれませんが、必要な書類さえ揃えられれば案外簡単に申請することができます。実際、TokyoDevでもスタッフの在留資格の更新や変更を数回申請していて、ちゃんと許可されています。
ただし、それは申請しようとしている在留資格の条件を候補者が明確に満たしている場合。条件を満たしているかどうかが曖昧な場合などは、スムーズに申請が許可されるとは限りません。
不明な点があれば出入国在留管理局が丁寧に教えてくれるので、管轄の管理局に問い合わせてみるのもおすすめです。