私はこれまでエンジニア採用の仕事に関わって複数年経ちますが、採用担当者の年収や働き方の実態をまとめた調査は、これまで目にしたことがありませんでした。
自分の年収は、同じ仕事をする人と比べて高いのか低いのか。ほかの会社では、どのような業務を担当し、どのように働いているのか。社内に同じ職種の人が少ないことも多く、こうした実態を知る機会は意外と限られています。
TokyoDevでは、2019年から日本で働くエンジニアを対象に、年収や働き方についての大規模な調査を毎年実施しています。そこで今回、エンジニアを採用する方々についても同じような調査ができないかと考え、採用担当者向けのアンケート調査を行いました。
初めての試みということもあり、残念ながら回答者は19名にとどまりました。エンジニア採用担当者全体の傾向を語れる規模ではありませんが、今後さらに探っていきたい、いくつかの興味深い傾向も見えてきました。
この記事では、今回の調査から見えてきた内容をご紹介します。
回答者はどんな人たちか
有効回答は19名です。まず、どのような方々が回答いただいたのかを示します。






人事の経験が5年以上ある方は19名中16名、従業員500名以下の会社に勤めている方が13名でした。日系企業に勤める方が17名いる一方で、英語を採用業務の3割以上で使っている方が12名いました。
今回の調査に回答してくださった方は、一定の経験年数があり、従業員500名以上がメインで、一部英語を使って採用業務を行っている方々がメインだったといえます。
年収

上記の図は、年収を回答してくれた方を表しています。800万円台より下に7名、1,100万円以上に7名という結果となり、その間の900万円台と1,000万円台には、1名もいないという結果となりました。1,200万円台から1,900万円台にも、1名もいませんでした。
(役職ごとの年収の内訳は公開していません。人数の少ないグループを年収と掛け合わせると、回答した個人が特定できてしまう可能性があるためです。)
回答数が14名と少ないため、偶然年収が大きく2つの層に分かれただけかもしれません。ですがこの2つの層では、属性に違いがありました。
1,100万円以上の7名は、いずれも採用担当(TA)またはHRBPでした。一方、「人事全般(採用・労務・評価)」を担当していると回答した方は、上の層にはいませんでした。今回の回答に限れば、年収が高い層には、人事業務を広く担う方ではなく、採用を専門領域とする方が集まっていたことになります。
さらに、担当している採用業務の範囲にも違いが見られました。今回の調査では、採用業務を8つの工程に分け、担当しているものをすべて選んでもらいました。

回答者全体で、担当している工程数の中央値は7つでした。多くの方が、一部の業務だけでなく、今回挙げた採用業務のほぼすべてを担当していることがわかります。
なかでも、年収1,100万円以上の7名のうち、4名が8工程すべてを、1名が7工程を担当していました。一方、担当工程数が少なかった方は、いずれも800万円台以下の層に含まれていました。
英語の使用状況もあわせて見ると、上の層には、採用を専門領域とし、英語を業務の一部で使いながら、採用の幅広い工程を担っている方が多くいました。これらは別々の特徴というよりも、「グローバル採用を広い範囲で担うリクルーター」という一つの働き方を、異なる角度から表しているのかもしれません。
一方で、経験年数だけでは、この2つの層の違いを説明できませんでした。今回の回答者19名のうち、人事経験が10年以上の方は8名、5年以上10年未満の方も8名と、回答者の多くがベテランでした。しかし、経験10年以上の方は年収の上の層と下の層の両方に含まれていました。
今回の回答からは、経験の長さそのものよりも、採用を専門領域としていることや、グローバル採用の幅広い工程を担っていることが、年収の違いと関係している可能性が見えてきました。
ただし、これは14名の限られた回答から得られた仮説であり、日本のエンジニア採用担当者全体に当てはまるものではありません。来年も同じ調査を実施し、この2つの層が再び現れるのか、また、どのような役割や働き方が年収と関係しているのかを確かめたいと考えています。
働き方


18名中10名が、週の労働時間は45時間未満だと回答しました。
またリモートワークについてでは、原則出社が1名のみ、他の方々はハイブリッドや選択ができるという回答となりました。
AI活用
AIを使っている場面の数と年収に関係は見えませんでしたが、実際にどう使われているかは、この調査ではっきり割れた部分でした。

ただ、この数字だけでは分母が揃いません。求人票を作っていない方は、求人票をAIで作ることもないからです。そこで、その業務を担当している方のうち何人がAIを使っているか、という割合に直しました。

何らかの場面でAIを使っている方は19名中18名でした。求人票の作成が86%、ソーシングが75%、面接メモの取りまとめが64%。ここから下がって、書類選考が46%、面接が25%、オファー・条件交渉は13名中1名だけでした。
よく使われている上の3つは、文章を書く、候補者を集める、記録をまとめる仕事でした。下の5つは、誰を通すか、誰と会うか、いくらで出すかを決める仕事です。
AIが引き受けたのは作業であって、意思決定ではありませんでした。
次回に向けて
今回の調査は回答者が19名と少なく、結果はあくまで仮説を立てるための参考データだと考えております。
また、エンジニア採用に携わる方であれば幅広く回答していただきたいと考えていましたが、実際にはTokyoDevを日頃から利用してくださっている方からの回答が中心になったと考えられます。アンケートフォームも日本語版しか用意していなかったため、次回は英語版も用意し、より多くの方に参加していただける調査にしたいと考えています。
質問内容についても改善していく予定です。たとえば、マネジメント業務の有無や、年間で採用しているエンジニアの人数なども尋ねることで、年収と役割・責任範囲との関係を、もう少し詳しく見られるのではないかと考えています。
そして次回は、より多くの方に回答していただけるよう、回答いただいた方には調査結果発表イベント(懇親会)へのご招待も検討しています。
第2回の調査にご協力いただける方は、調査開始時にご案内をお送りいたします。ぜひお知らせを受け取るフォームからメールアドレスをご登録いただけるとうれしく思います。